【赤面症は手術で治る?】根本的な治療との違い・失敗しない為に知っておくべき事
今回は【赤面症の手術】についてお話します。
そもそも、「赤面症に対して手術を行う」という事自体が想像できない方も多いでしょう。
私も最初は「えっ?赤面症って精神的な問題でしょ?手術なんて出来るの?」と驚きました。
結論から言うと、出来ます。
ただ、そこには大きな問題点がある事を知ってください。
あなたは「赤面症」に悩み、治したいと思っているはずです。手術をして治るなら…という考えの裏に、落とし穴があるのです。そのリスクを知らないまま手術を受ける事がないようにと、この記事を書く事にしました。
こちらの記事も参考にしてください。
→【赤面症】症状と病院での診断について【体験談あり】
→【赤面症の薬とは】自分で選ぶ薬?病院へ行けない人への選択肢はこれ!
- 赤面症は手術で治るのか
- どのような手術なのか
- 手術後、赤面症はどうなるのか
- 赤面症を手術で治す事のリスク
目次
赤面症は手術で治るのか
結論から言うと、「顔が赤くなること」は手術でおさまります。
「赤面症」とは「顔が赤くなったらどうしよう」「変に思われるのでは」という気持ちから、「赤くなってはいけない」と意識するあまりに脳が「赤くなる」という事に執着し、離れられなくなってしまっている状態の事です。
詳しくはこちらの記事を読んでください→【赤面症】症状と病院での診断について【体験談あり】
注意してほしいのは、おさまるのは「顔が赤くなること」であって、「赤面症」ではないという事です。
どう違うの?という声が聞こえてきそうですね(;^ω^)
顔が赤くなる事なんて、普通に考えたらだれにもである事ですよね?
暑い時、日に焼けた時、熱が出た時、運動した時、マッサージをした時。そのどれも、「血行が良い時」です。血管の中を多くの血液が流れている状態、という事です。
それを、無理やり止めるのです。
本来なら動物として自然と起きる現象を、です。
あなたは「人としての機能」を失ってまで、顔が赤くなる事を止めたいですか?確かに赤面症であるがゆえに、辛い思いをしてきた事はわかります。私もそうでしたから。
でも、失われる可能性のある機能をみたら、きっと手術は「最後の選択肢」どころか選択肢から消したくなると思います。「これなら顔が赤くなる方がマシだ!」という考えが沸くなら願ったりかなったりなので、どのような手術内容なのかを見ていきましょう。
どのような手術内容なのか
胸腔鏡下胸部交感神経切除術
私は医者ではないので、詳細はわかりません。私自身が手術を受けたわけでもないので。
ただ、手術として確立している以上、何かには有効なのだろうと考え、どういった場合に行われる手術なのかという事を調べました。
胸腔鏡下胸部交感神経切断術が行われる症状
- 体の特定の部分の過度の発汗(多汗症)
- 顔面の赤面
- レイノー病(手足の一部に「冷感」や「皮膚色の変化」が現れる症状)
- 反射性交感神経性ジストロフィーの治療
この手術は、2つの交感神経幹のいずれかの関連神経を物理的に破壊するのです。
交感神経は、過度の赤面や発汗などの状態を調節するため、これらの生理学的メカニズムが実行する標準的な機能は、交感神経切除術によって無効になるか、大幅に損なわれます。
参考:Wikipedia
ちなみに、この手術が行われる最も多い例としては、「多汗症」です。
赤面症も相当悩みますが、同じように多汗症もかなり辛い症状であることは間違いないですよね。
しかしこの手術では、発汗や心拍、甲状腺、瞳孔拡張、皮膚温度、生体反応である「戦うか逃げるかの反応」のような自律神経系の他の部分も損なわれてしまう事があると報告があります。恐怖や笑いなどの強い感情に対する生理学的反応も減り、痛みと喜びの両方に対する身体の反応を弱くなり、皮膚感覚をも抑制されるのだそうです。
もちろん、場合によっては副作用も少なく手術を終える例もあるでしょう。
しかし赤面症を治す事に対する代償がこれでは、あまりにも辛すぎますよね…。
【赤面症】から違う神経症状へ
公的自己意識は無くならない
「公的自己意識」とは、簡単に言ったら「人からどう見られているか」という事です。
思春期に一度この意識が強くなりますが、これはとても自然な事です。異性を意識する年ごろですし、「自分がどういう評価を受けているか」という事が成長過程で気になり始める頃なので問題ありません。
通常であれば大人になってその意識は軽減されていくものですが、何らかのきっけかによってその意識が増大し、赤面症のような神経症状を引き起こしてしまうのです。
そもそも赤面症とは、自分の心から来る症状です。体が悪さをしているわけではなく、自分の「考え」が脳に強くインプットされすぎて書き換えられず、自分の考えをスイッチのようにして自動的に症状が出るようになってしまっている、という事です。
元々は精神的な問題から来るものですから、体をどうにかしたところでその問題は残ってしまいますよね。手術を受けたとしても、「公的自己意識」が病的に強い事は治りません。
手術によって、顔が赤くならなくなったとしても、今度は別の症状が出始めるのです。
他の恐怖症・神経症状への移行
「赤面症」は顔が赤くなる事を極端に意識してしまうあまり、自分の意識をスイッチにして自動的に「顔が赤くなる」症状が出てしまう事ですが、つまり「赤面恐怖症」です。
赤面恐怖症のように、「人から〇〇だと思われたら…」とか「自分はなんて△△なんだ、こんな奴変だと思われるにきまってる…!」という極端な思考に走る恐怖症はたくさんあります。
- 醜形恐怖症(自己の見た目に対する恐怖)
- 発言恐怖症(発言する事に対する恐怖)
- 笑われ恐怖症(笑われる事への恐怖)
- 視線恐怖症(他者からの視線に対する恐怖)
- 自己臭恐怖症(自分の匂いに対する恐怖)
赤面症に似ていると感じるものをいくつかあげてみましたが、どれもスイッチは「自分が〇〇だったらどうしよう」なんですよね。
「ブサイクと思われたら…」「コイツバカだと思われたら…」「笑われたら…」「あんなにじっと見てくるのは私が変だから…」「臭いと思われていたら…」
赤面症のあなたなら、少しは思い当たる事があるのではないでしょうか。
手術で「顔が赤くなる」ことを抑えられたとしても。
「公的自己意識」が居座る限り、あなたは他の恐怖症へ移行するのです。これはほぼ間違いなく、そうなると言っても過言ではありません。
対人恐怖症は、自力での回復がかなり難しいと言われています。赤面症はその一部ですから、赤面する症状が手術で仮になくなったとしても、今度は違う理由を見つけて恐怖を感じるようになるのです。
これが「自力での回復が難しい理由」と言えます。
心療内科へ行き、適切な処置を受けて自己をコントロールし、「公的自己意識(人にどう見られているか)」ではなく「私的自己意識(自分はどう思っているか)」を高めるように訓練をしなければならないのです。
もちろん、その方法をきちんと教えてもらえれば、家でも職場でも繰り返し実行する事が出来ますから、自分で努力して改善していく事は可能です。
心療内科へ行く事を強くおすすめします。
ただ、「心療内科」というのは初めての人間にとってかなり敷居が高いものでしょうから、軽度の場合であれば本を読んで勉強する事で、ある程度「考え方の改善」はできます。
病院へ行く事を迷っているのなら、おすすめしたい自然療法もありますので、一度調べてみてください。
→【赤面症の薬とは】自分で選ぶ薬?病院へ行けない人への選択肢はこれ!
まとめ:根本的な問題の解決の為に
赤面症を手術で治す事は、おすすめしません。
もちろん、それでも手術をしたいという人もいるでしょう。こんなに辛い思いをするなら、いっそ手術をして楽になりたい、と。
気持ちはよくわかります。でも、よく考えてみてください。
生きていく上での、幸福や喜びまでも感じにくくなるリスクがあるのです。
それはあなたにとって幸福な事ですか?
そうまでして、顔が赤くなる事を止めたいですか?
赤面症という症状に悩まされる人は、とても優しい心の持ち主で、繊細なのです。ほんの少しの事でも落ち込んだり、でも逆にほんの少しの励ましで頑張れたりするのです。あなたにだって、自分では気づけないだけでよいところがたくさんあるはずです。
それを発見できないまま、体にメスを入れる事を私はどうしても受け入れられません。
人は、変われます。
適切なコントロール方法さえ教えてもらえたら、少し時間がかかってでも、変わっていけるのです。
赤面症を手術で治したいと思ってこのページを見た方が居るなら、思いとどまって欲しいと私は思います。
まずは「治る可能性のある方法」をひとつずつ、試してみてください。あなたに合う方法がきっと、あるはず。
あなたが少しでも、楽な気持ちで人生を歩める事を願っています。
→【赤面症の薬とは】自分で選ぶ薬?病院へ行けない人への選択肢はこれ!